2017年5月22日月曜日

『エイリアン: コヴェナント』観てきた!ネタバレ無しミニレビュー+ネタバレ考察+『ブレードランナー』との関連性




『エイリアン: コヴェナント』は、『プロメテウス』に納得できなかった人こそ見るべき作品だ。

おま国状態の日本よりも先にフィンランドで『エイリアン: コヴェナント』を鑑賞してきた。

『エイリアン』(1979)を期待して『プロメテウス』(2012)を観てがっかりした人は多いだろう。私もその一人だった。しかしそれは時系列的に期待が間違っていたのだ。

嫌な味方をすれば、ある意味では『エイリアン:コヴェナント』は『プロメテウス』の弁解とも言える内容だ。しかし、これはリドリー・スコットによる正当な『エイリアン』三部作(スコット以外の監督達の手を経て一応の幕を閉じられたリプリー四部作ではなく)を完成させるパズルの最後の一ピースと言うのが正しいのではないか。それが鑑賞後の正直な感想だった。

『エイリアン:コヴェナント』は『プロメテウス』の文脈なくては完全に理解はできない。また、『プロメテウス』についても『エイリアン:コヴェナント』無しに『エイリアン』につなげようとすると「群盲象を評す」ことにしかなならい。

その他の点では、様々な(私も教養がないために理解できていない)象徴性が散りばめられ、重なり合っているとともに、リドリー・スコットらしい美しい映像も楽しめる。エンターテイメント性も十分ある作品だといえる。

これからシリーズを見ようという方は作中の時系列順に『プロメテウス』、『エイリアン:コヴェナント』、そして『エイリアン』を鑑賞するのが一番いいだろう。



追記:あと忘れてはいけないのは、プロモーション動画の存在だ。こちらは「Prologue: Last Supper」と題された動画。その名の通り、コールドスリープに入る前のクルーたちの「最後の晩餐」が描かれているのだが、映画ではこの映像は出てこない。しかし、乾杯の音頭を誰が取るのか、事前にスピーチを考えていたクリストファー、などクルーたちの関係が描かれているので、事前に観ることで作品に深みが増すだろう。





また、クルーそれぞれの出発前のメッセージも、ダニエルスクリストファー・オラムRsenthalLopeのものが公開されている。クリストファーのものでは、そのついに語られることのなかったスピーチ文らしきものが登場する。

こちらはアンドロイドの(『エイリアン:コヴェナント』作中での)最新モデルであるウォルターの、商品としての宣伝動画。





そして、ストーリーにもっと絡んでくる動画がこちら「Prologue: The Crossing」。この動画の内半分くらいは本編でも映るのだが、プロモーション用に事前に公開されているので厳密に言えばネタバレではないだろう。それに、本編に映ることのないもう半分の部分も興味深い。















以下ネタバレあり












・『ブレードランナー』と『エイリアン:コヴェナント』


Oriverは「【大考察】『ブレードランナー 2049』予告編映像に映り込む人類創造主“エンジニア”の影を追う!」という記事の中で、『ブレードランナー』の世界と『エイリアン』の世界の関連性を語っている。確かに『ブレードランナー2049』予告編に映る該当のものは「エンジニア」に似ているが、記事中でも述べられているように年代的に一致しないし、コクピット内画面については『ブレードランナー』のドキュメンタリーでただ単に「流用した」と言われていたように思う。『ブレードランナー2049』と『エイリアン』シリーズに共通性があるかどうかはともかくとして(個人的には無いと思う)、『ブレードランナー』とスコットの手による『エイリアン』三部作には同じテーマが流れる。特に『エイリアン:コヴェナント』はそれが顕著だ。

どちらも初めのシーンは目だけが画面に映される。目というモチーフは『ブレードランナー』には多く登場する。冒頭の目のアップ、瞳孔収縮を見るヴォイト・カンプ・テスト、レプリカントの目を作るチュウ、目が光を反射するレプリカントたち(とフクロウ)、そして目を潰されるタイレル博士。『エイリアン: コヴェナント』にももちろん登場するエイリアン(ゼノモーフ)に表面的に目が存在しないこと(しかしH・R・ギーガーはその頭部に人の頭蓋骨を入れていた)も目の繋がりという文脈では意味をもたせることができるかもしれない。『エイリアン:コヴェナント』ではエイリアンの視点での映像があるのも面白いだろう(デイビッド・フィンチャーの『エイリアン3』でもエイリアン視点の映像があったが)。

そして映画の出だしはデイビッドとウェイランドとの「子と父」のシーン。これはロイ・バティーとタイレル博士とのシーンを彷彿とさせる。ただ、「子と父」の関係の終わりを描いている『ブレードランナー』のシーンとは違い、デイビッドとウェイランドのシーンはその関係性の始まり、もしくは創造主への反感の始まりでもあり、創造主のそのまた創造主という謎への疑問、またその疑問を自らの創造主へ植え付けたシーンとも言える。(ロイが延命を求めタイレルに会う『ブレードランナー』のシーンはまた、『プロメテウス』でウェイランドがエンジニアに会うシーンとも繋がる。そこではデイビッドの創造主は、そのまた創造主であるエンジニアによりなぶり殺されるが。)

『エイリアン:コヴェナント』でデイビッドは二度接吻を行うのだが、それはその後に続く致死的行為の前触れともとれる。ロイ・バティーもタイレルの目を潰し殺す前に口づけをする。関係あるかどうかの判断は読者に任せるが、新約聖書での接吻で有名なものはユダがキリストにしたもの。これによりローマ兵たちにこれがキリストだと示し、それによりキリストが処刑されることとなる。

『ブレードランナー』の世界でも、汚染され尽くした地球を捨てて他の星「オフ・ワールド」へと移住する人々が言及されているし、移住地での労働などにレプリカントが使われていることも語られている。

『ブレードランナー』が描くのは、人間が生み出したレプリカントと人間性との曖昧さであり、人間とは何か、であり、自らに似たものを生み出す行為の結末であり、生と死である。『エイリアン:コヴェナント』で描かれているのも、エンジニアが生み出した人間と、人間が生み出したアンドロイドと、人間性と、自らに似たものを生み出す行為、創造とその結末。その面では、『エイリアン:コヴェナント』はリドリー・スコット自らが造り上げた『ブレードランナー2049』とも言えるかもしれない。


・ダビデと神の契約=コヴェナント


デイビッドはミケランジェロによるダビデ像から自らの名前「David」を取ったということが『エイリアン:コヴェナント』冒頭で描かれる。旧約聖書に登場し、巨人ゴリアテを殺したダビデ(これによりイスラエル軍はペリシテ軍に勝利)であり、同時に古代イスラエルの二代目の王であった。エンジニアを(ひとつの星から)抹殺した本作のデイビッドはそのまま巨人ゴリアテを倒しペリシテ軍に勝利したダビデに重なる。

ダビデの前の、初代ユダヤの王であったサウルは神に背いたために神に好かれなかった。そのかわりに神に好かれたのがダビデであり、ダビデは神との契約「covenant」によりユダヤの王となった。 (追記:聖書にはこの他にも神の契約=covenantがあるので、このダビデとの契約が本作のタイトルであり船名でもあるコヴェナントなのかは確実ではない。 この契約はデイビッドの血筋から救世主(イエス・キリスト)が登場し、そして永遠の王国を築くというものであった。

『エイリアン:コヴェナント』に登場する植民船コヴェナント号(Covenant)は2000人以上の植民者達と、1000のその胎児(正確には胚子か)たちを運んでいた。その後船を乗っ取ることとなるデイビッドは、胎児達の入った入れ物に2つの胚子を収めるのだが、それはデイビッドの「血筋」であり、そのどれかから(何代も後かもしれないが)救世主が誕生し、永遠の王国を築くということか。

「プロメテウス」は、多分他のサイトも既に書き尽くしているので既にご存知と思うが、ギリシャ神話に登場し、人類を作り、なおかつ人類に「神界の火」を盗み与えた神の名だ。この「火」は「知性」とも考えられているが、それにより人類は戦争を始めた。そしてプロメテウスはその罪によりゼウスにより、肝臓を鷲により永遠についばまれる(プロメテウスは不死であり、ついばまれても夜の間に再生してしまう)という罰を与えられた。これは『エイリアン:コヴェナント』を見るとエンジニアが人間に与えてしまった火(黒い液体のやつ)とも映るし、アンドロイドに人間が与えてしまった火(知性)とも映る。

エンジニアを火を盗み人類に与えた神プロメテウスとして見よう。『プロメテウス』で描かれるエンジニアたちが造り上げた(?)遺伝子を作り変えてしまう黒い液体は=火は、『プロメテウス』冒頭でエンジニアが飲んだことにより生命の息吹を地球に与え、人間を形作り、その後に人間がアンドロイドを作り、そいつがエンジニアたちに罰を与えることとなった。『エイリアン: コヴェナント』作中ではエンジニアの星がエンジニア自らが作り出した黒い液体により破壊されるが、これは神プロメテウスにとっては一晩の苦痛でしか無い。エンジニアたちはこれで全滅したわけでは無いのは『エイリアン』から明らかだ。『エイリアン』ではエンジニアの船にゼノモーフの卵があり、そこからフェイスハガーがでてくることからも、『エイリアン』でエンジニアの船で運ばれていたのはデイビッドの「血筋」であることがわかる。しかし『エイリアン』作中のエンジニアの船の中のスペースジョッキーも中からゼノモーフが飛び出した痕跡があったことから、これはエンジニアを苦しめる永遠の責め苦となる存在であろう。

ゼノモーフに永遠に苦しめられる存在としては、人類もまた神プロメテウスに重ねられる。人間が造り上げ、知性を与えたアンドロイド、それがプロメテウスが与えた火の象徴であり、その火=知性を持ってエンジニアの黒い液体を改造し、「完全な生命体」であるゼノモーフを生み出した。これによりアンドロイドに火を与えた人間は、ゼノモーフにより永遠に内蔵をついばまれることとなったのだ。

また『エイリアン:コヴェナント』には信仰心があるからこそ理性的になろうとする一等航海士>艦長クルストファー・オラムが登場するのも興味深い。Christopherという名は 新約聖書に登場する(追記:聖書に出てこない) 聖クリストファー/クリストフォロス(Saint Christopher/Christophoros)に由来するという。彼はまだ子供であった [追記:キリスト教徒受難の時期にキリスト教徒となった人物で、子供に化けた] イエス・キリストを背負い川を渡った人物だ。 追記:もちろん、彼の名前、加えて「羊」の発言からすると、彼をイエス・キリストの象徴としても良いかもしれない。

水で顔を洗うという洗礼を象徴する行為の後にゼノモーフに首を切られるRosenthalも首をはねられ処刑された洗礼者ヨハネと関連付けることができるだろうか。



・性



『エイリアン』シリーズと性を分けて語ることはできない。ゼノモーフは人間に死をもたらすものであり、死の逆の生はまた、性により続いていく存在だ。当初のデザインでは開口部が女性器のようであったフェイスハガーの入った卵。フェイスハガーの下部の女性器のような部分からは、人の口の中に男性器状の排卵管を入れ込み、卵を産み付け、卵は人体内で育ち、人を殺し飛び出す。そして大きくなったゼノモーフは男性器状の頭部を持つ。それが女性である主人公と対峙するのだ。

これだけでも人間の生殖活動との共通性の高さが見える。そして忘れてはいけないのは、人間は特に時代を遡るほどに出産とともに母体が死ぬことが多かったということ。つまり、子は親を殺して生まれるのだ。

また、『プロメテウス』と『エイリアン:コヴェナント』に登場するエンジニアの作った黒い液体は、生物の内部に入り込み、遺伝子を組み換える。そしてこれはゼノモーフの源となる存在であること、そして母体の中に入り母体の遺伝子と組み合わさり新たなものを生む液体=精子との関連性も感じられる。

また、アンドロイドの性も興味深い点である。エンジニアに生み出された人間は、生殖機能によって自らの子供を生み出すことが可能だが、アンドロイドたちにはそれができない。『エイリアン:コヴェナント』ではデイビッドが「創造ができない」(だったか「許されない」だったか)ことによるフラストレーションを語っていたが、アンドロイドは生殖活動のシミュレーションとも言える性行為もどうやらできないようだ。それによるフラストレーションなのか、『エイリアン』でアンドロイドのアッシュは雑誌平凡パンチを丸めてリプリーの口に入れようとしていたし、『エイリアン:コヴェナント』では同じくアンドロイドであるウォルターに縦笛の吹き方を教え、それにより「創造」を教えようとした。

デイビッドは『プロメテウス』でもホロウェイの酒に黒い液体のついた自らの指をつけ入れ、ホロウェイの体内に黒い液体を入れ込み、ショウ博士を間接的に「妊娠」させていた。『エイリアン:コヴェナント』では嫌がるダニエルスに馬乗りになりキスをするという強姦を連想させるシーンがあるが、それに続きデイビッドが計画していたのはフェイスハガーによるダニエルスへのゼノモーフの「妊娠」だ。

ウェイランドを「父」、宇宙船コンピュータの名称が「マザー」=母であることも興味深い。なお、宇宙船コンピュータが「マザー」であるのは過去の『エイリアン』作品でも同じである。



・他の言及:リヒャルト・ワーグナーの『ニーベルングの指輪』、『ラインの黄金』第4場から「ヴァルハラ城への神々の入城」







『エイリアン:コヴェナント』では最後にデイビッドによってワーグナーの『ニーベルングの指輪』の『ラインの黄金』第4場から「ヴァルハラ城への神々の入城」(Das Rheingold, Scene 4: Entry of the Gods into Valhalla)が流される。ここに見る関連性は「炎」かもしれない。

『ラインの黄金』のこのシーンでは神々は虹の橋を渡り、残されたローゲ(ロキ)は炎により全てを燃やそうと独白する(一応オペラを見たことあるけどローゲの独白は覚えていないのでこの部分はWikipedia参照)。このローゲ/ロキの名は元々古ノルド語で「炎」を意味する「logi」からきているという話もある。

リドリー・スコットの三部作で共通して登場する要素は「炎」だ。『プロメテウス』と『エイリアン:コヴェナント』では共に主人公の夫が炎に焼かれて死ぬという共通性がある。

なお『ニーベルングの指輪』の『ワルキューレ』では英雄ジークムント(シグムンド)と、彼に瓜二つのフンディングの妻ジークリンデが登場する。これはデイビッドとウォルターと重ならなくもない。『ワルキューレ』の中では、ワルキューレの一人であるブリュンヒルデは、ジークムントの子を宿したジークリンデを逃したことの罪により、炎の中で眠り続ける。日本版Wikipediaではこの事を「縛られたプロメテウス」(永遠の罰を受けるプロメテウス)と関連付けているが、そう考えるとなお興味深いかもしれない。


・他の言及:『オズマンディアス』


デイビッドはパーシー・ビッシュ・シェリーによる『オズマンディアス』の引用をしている。オズマンディアスはエジプトのファラオ、ラムセス2世のギリシャ名。パーシー・ビッシュ・シェリーは『縛を解かれたプロメテウス』(Prometheus Unbound)という作品も書いている。これは、内臓をついばまれるままに鎖でつながれていたプロメテウスの鎖が解かれる話。(なおパーシー・ビッシュ・シェリーの後妻は『フランケンシュタイン』のメアリー・シェリーである。)

また詩人ホレイス・スミスもまたシェリーと同時期に同テーマの『オズマンディアス』という詩を発表している。シェリーとスミスはソネットの腕を競い合っており、同じ雑誌にて『オズマンディアス』を発表している。スミスの『オズマンディアス』では、オズマンディアスの築き上げた今は無き都市と、未来すでに無きものとなっているロンドンの光景を重ね合わせている。


・他の『エイリアン』作品へのオマージュ性

追記:『プロメテウス』のテーマが「デイビッドがショウ博士へ捧げた曲」として演奏される他、時折流れる。

『エイリアン』:『エイリアン:コヴェナント』には、『エイリアン』のデザインの為にギーガーの描いたエイリアンのスケッチに似た画やノストロモ号内にあった「ドリンキング・バード/水飲み鳥」が見られた船内にあったり、コールドスリープに入る前にダニエルスがブラなしでいるあたりが共通性に思える。 追記:ジェリー・ゴールドスミスによるテーマが時折流れる。

『エイリアン2』:クレーンを操作するシーンはある意味パワーローダーでエイリアン・クイーンと対峙したリプリーにも繋がる。

『エイリアン4』:黒い液体から「完全な生命体」を作るためのショウ博士を含めたデイビッドの実験の数々はクローン・リプリーたちを連想させなくもない。


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教養が高くないためあまり込み入った言及や考察もできないし、一度しか『エイリアン:コヴェナント』を見ていないので逃している部分もあると思う。「他の言及」部分は適当に書き出してみただけだし、最初にデイビッドがピアノで弾いていた曲や、座っていた椅子、壁にかかっていた絵画にも何らかの意味をもたせることができるかもしれないが、多分頭のいい人がやってくれるだろう。


(abcxyz)

2017年5月19日金曜日

自然界に流れ出すマイクロファイバーから地球を守れ。極小繊維を逃がさないGuppy Friend



フリースやナイロンなどの人工繊維から抜け出し、選択の際に排水とともに自然界に流れ出してしまうマイクロファイバー。人間にとっては便利な素材かも知れないが、今それが自然界に流れ出して問題になっている。マイクロファイバーは長さが5mm以下。自然の中で魚などの生物に食べられ、蓄積され、その生物の消化吸収の妨げになったり、するなどして生態系に害を与える。もちろんそういった魚達も知らず知らずのうちに私達が食べる。水の中にも流れてしまうので、それを私達が飲む。





そんな極小の繊維が自然界に流れ出る前に止めようというのがGuppy Friendだ。




Kickstarterで出資し、Mサイズを手に入れた。目が非常に細かい。




ので、光に透かすとなんだかサイケデリックな画になる。




毛長のフリースとこういうのを入れて洗ってみた。




普通にGuppy Friendの中に衣類を入れ(袋をいっぱいにしてはいけない)チャックで閉めて洗濯機で洗うだけ。チャックはもちろんYKK。





洗えばGuppy Friendの内側の縁のあたりにマイクロファイバーがたまるという仕組みだ。たまったものは自然界に流れ出ないように手で取り除き、捨てる。一見何もないようにみえるかもしれない。





同じ写真だが拡大してみよう。そこかしこには確かに微小なマイクロファイバーが見て取れる。




まだ1度しか使用していないし、比較的新しい衣類だという事もあってかあまり繊維は溜まっていないのも事実だ。流石にこのままの状態だと一つづつ取って捨てるのは至難の業なので、Guppy Friendは今回このままの状態にして、もっとこれを使用して選択して繊維が袋内に蓄積した時に取って捨てようと思う。

こんな小さなことを…と思う方も少なくないかもしれないが、文字通り、塵も積もれば山となるのだ。この極小の塵が積もってできた問題は将来人類にどれだけの災いをもたらすか。小さな一人ひとりの努力は目に見えずとも、それをしなかった場合の山の大きさを変えることはできるだろう。


(abcxyz)

2017年5月10日水曜日

ゲームレビュー:美しい白黒世界で重力を利用し進むユニークなプラットフォーマー『OVIVO』

この記事はIzHardより『OVIO』Steamキーの提供を受けてこの記事を書いている。

今回レビューするのはサンクトペテルブルクを拠点とする3人の若者によるゲーム会社IzHardが送るゲーム『OVIVO』。この『OVIVO』はMicrosoftの学生向けコンペ、「Imagine Cup 2015」でゲーム部門において優勝、それにより本作の開発費を得て完成したものだ。




これが本作のプレイ画面。文字はなく、移動する場所であり、床であり天井であり、壁であり障害物でも危険物でもある空間が、白と黒で描かれている。

プレイヤーの操ることになるボールからアンテナの突き出た形状の物体にできることはあまりない。左右の移動と、白と黒に別れた空間を行き来することだけだ。左右の移動も少しの坂で進めなくなる。そんな弱々しさのある存在だが、重力や慣性を持って別の色の空間と接する際にスペースキーを押すことで、白黒の空間を行き来することができる。そうすると重力の方向が変わり、これを利用してステージを進んでいく作品だ。

百聞は一見にしかず。動画を見てみよう。





動画はIzHard Team | OVIVO gameより。

この黒と白の面を行き来することで加速をつけてタイミングよく移動していく。最初のうちはそのシンプルな仕組みを純粋に楽しむゲームだが、先に進むに連れて主人公が乗ることで作動する要素や、左右逆転や重力逆転などが起こる部分も出てきて、人によってはなかなかの手応えを感じることができるだろう。

チェックポイントの配置は絶妙で、失敗した時に、失敗するほぼ直前の部分からやり直しができてストレスは溜まらなかった。重力の掛かる方向の違う2つの色で構成されたマップの形は複雑になっているが、進行方向は悩むことなく直感的にわかるのは凄いところ。その点もチェックポイントの配置のお陰で、ある地点で迷子になって「あれ?こっちかなー」と様々な方向に移動してみた時に、正しい方向に進んだ際にはちゃんとチェックポイントが更新されているので、長時間迷子になることもなかった。タイミングを合わせないと行けなかったりする部分もあったが、一通りクリアするのは2時間程度。所々に集めるべき要素が存在したりもするので全実績を解除するまで楽しもうとすればもう少し時間がかかるかもしれない。




卵巣と子宮を模したようなプラットフォームに乗ったりも。




上の画像はステージ全景。動画でも最後のあたりで視界が引いてステージの全景が写るシーンが見れるが、それもまたこの作品の面白い所の一つだろう。白と黒で表現されたステージ上には、魚や狼などの自然の要素から、ミケランジェロの「アダムの創造」やムンクの「叫び」などの有名絵画まで、様々な要素がプレイ中に見える。しかし、ステージをクリアしたときに写る全景は、今まで通ってきたステージがより大きな作品の一部となっている姿を見ることができる。プレイ中にそこかしこに秘められたメッセージ性を読み取り、ステージ全景を見つめながら考えるのも面白い。

白と黒のモノクロームな世界が構成する、直感的に進むことができるが美しいマップ、シンプルながらも爽快感のある操作性、そしてBrokenkitesが担当する美しい音楽が相まって小粒ながらも上手くまとまった作品となっている。

『OVIVO』はSteamで5月12日より発売

2017年5月9日火曜日

フィンランドデザインの大御所がデザインしたかわいい充電アダプタ「Mr. Charger」



ASMO Solutionsによる「Mr. Charger」。フィンランドデザインの大御所Eero Aarnio
がデザインした充電アダプタがIndiegogoで資金募集中だ。





動画は
Asmo Saloranta
より。

Eero Aarnioはフィンランドのデザイナーでその名を知らぬものは居ないほど有名な人。名前が知らない人でも、ヘルシンキに来たことがある人ならば、行く先々に置いてある、彼のデザインした球形の椅子「Ball Chair」や天井から吊るされた透明なバブル状の「Bubble Chair」柔らかい形の犬のような「Puppy」などで作品を見たことはあるはずだ。





Eero Aarnioの仕事場が映る動画。動画はRagvald2ndより。もう存在しないDesign Forumが映っているのが懐かしいね。

そんな彼がデザインしたモバイルチャージャーが「Mr. Charger」。「Puppy」を彷彿とさせる柔らかい形状、可愛らしいボディーに、出力5V 3AのUSB C出力を備える。キャンペーン動画を見ればわかるように携帯することも考えられているが、別に携帯性を優先してデザインされたものではない。コンセントにつなげていないときには両足で自立することができる。

プラグは日米兼用プラグの他にもEUプラグも用意している。製造開始は8月で、発送は11月を予定している。

唯一気になるのは、キャンペーン動画にも出演するMarc Dillon。彼はASMOのCEOであるが、彼はJollaの共同設立者でもあった。私が以前彼を目にしたのはJolla Tabletの資金募集動画内だった。Jollaは2015年末に財務再編申請しており、Dillonはその前である同年秋ごろにJollaを去っている。御存知の通りそれに先駆けてJolla Tabletは出資者に返金することとなった。





動画はJollaより。

もちろんDillonだけにJollaの財政問題の責任があるわけではないだろうが、Jolla Tabletで資金を集めるキャンペーン動画の「顔」であった彼が、こうしたキャンペーンで資金募集していると、その流れを知る者にとっては不安感が少々残るのは仕方ないだろう。もちろん誰しも失敗することはあるし、その後イメージを払拭することも必要なのだが。

なお、ASMO Solutionsは2014年にも安全性に重きをおいたチャージャープロジェクト「ASMO Charger」を出している。このプロジェクトが出た当初も覚えている、以前チャージャーのせいで家が燃えた経験があるため安全なチャージャーをつくるというものだったはずだ。そちらのプロジェクトは無事成功しているので、Mr. Chargerにも期待できるかもしれない。このプロジェクトがMarc Dillonにとってイメージを塗り替えるものになるだろうか。


[via Indiegogo]

(abcxyz)

2017年4月27日木曜日

トミカ 116 スーパーアンビュランスがパッケージ詐欺(笑)




トミカの116 スーパーアンビュランス。実車と、トミカのパッケージの絵の再現度と、ミニカーの再現度とが違うのは承知の上だったが、まさかココまで違うとは…。

パッケージの絵では片側から傷病者室がせり出し、せり出した部分にはドアがついている。パッケージにはギミックとして「傷病者室左右拡幅」と書いてあるから、ここまで両側がせり出すと思うじゃない?




お店に飾ってあったミニカーは傷病者室がせり出していない状態だったので確かめようが無かったし。でもここまで絵で期待させておいて、たったこれだけしかせり出さないのは流石に騙された感がある。左右の傷病者室の大きさを変えて両側から車体幅分せり出させることだってできるだろうに。




トミカは手頃な値段で良い物を作っていると常々思うが、流石にこれは詐欺だろ(笑)と思いわざわざブログに書くに居たった。トミカだからなぜだか許せちゃうけど、でもこれが他社製品だったら返金要請しちゃいそうだ。








(abcxyz)

2017年4月24日月曜日

新たな靴紐の留め方・ファッションアクセサリー、「Xpand Lacing System」と「QuickShoeLace」レビュー



Kickstarterで出資したXpand Lacing Systemと、QuickShoeLace。前者はアメリカはワシントン州、後者は珍しくスロベニアからのプロジェクトだ。(記事中の写真は全てQuickShoeLaceのものだが、私はXpand Lacing Systemも使用している。)

まずはXpand Lacing Systemの動画から。




お次はQuickShoeLace。





どちらも「靴紐だけれども結ばなくても良い」ことを売りにしたプロジェクトだ。XpandもQuickShoeLaceも、靴紐の部分はただのゴム紐。どちらも様々な色合いがありファッション・アクセサリーとしても機能する事を売りにしている。




Xpandの方はただ靴紐の両端を挟み込んで止めるだけで、この方がパッと見何も出ていなくてきれいなのだが(Xpandを付けた靴を遠方においてきてしまったので写真を見せることができないのが残念だ)、QuickShoeLaceの方は加えて、靴紐を止める部分が丸いものもしくはスパイク状のものが選べ、それに引っ掛けるチャーム(?この裏側に刻印するというオプションが有る)部分がある。

紐以外何も露出しないスッキリしたXpandの方が個人的には好きだが、靴が足にフィットするように紐をキツめにつけていると、やはり足を入れる時に足の甲にあるベロの部分を手で持って足をもぐりこませるようにしないといけない。つまり脱ぎ履きする時には靴紐であるゴムを引っ張るわけだ。

QuickShoeLaceは、(見方によればファッショナブルな)突起が出ているところに、紐やチャームの付いているリングを引っ掛けれるようになっている。靴を脱ぎ履きする際にはここに引っ掛けているのを外してやることで靴紐ゴム全体ではなく、紐が緩まる状態(靴の靴紐用の穴を紐が通れるような状態)になる。そうすれば足を出し入れしやすい。

少々違いはあれど、どちらともゴムの伸縮性を利用して靴をフィットさせるとともに、脱ぎ履きの際に毎回紐を結ばなくてもするようにするという点では同じものだ。Xpandの方は去年から使っていて、まだまだ十分履ける程度ではあるが、少々ゴムがゆるくなってしまった。ゆるくなったら端を切れば済む話ではあるが。もしかしたらリングを引っ掛ける仕組みのQuickShoeLaceの方がゴムへの負担が少ないかも、とも思うのだが、それは使ってみてから出ないとわからない。




靴はRockportというアメリカのブランドのもの。ベアフットシューズではない。個人的にはこの突起がちょっと恥ずかしいかも。


QuickShoeLaceはこんな靴墨容器みたいなのに入ってた。




(abcxyz)

2017年4月20日木曜日

ミニマルデザインのコインケース「The Magic Coin Pouch」レビュー


IndieGoGoで出資していた「The Magic Coin Pouch」、実はしばらく前に届いて使用していたのだが、ギズモードにmachi-yaで出資中との記事が載っていたので思い出した。

常に多くのガジェットを持ち運ぶモバイラーとしては、なるべく個々の物は小さくあって欲しい。自分で財布を作ったりもするのだが、財布に関してはその収納性と共に、何を収納するか、どう収納するかが小さなデザインに落とし込むための鍵となっている。

紙のように薄いタイベックという素材と、ボタンやジッパーを用いない収納方式を採用することにより小ささを可能にしたのが「The Magic Coin Pouch」だ。折りたたむことでコインが溢れ出さないようにしている。詳しくはこの動画を見るといいだろう。





動画はElad Burkoより。




日本円よりも巨大なユーロだってこの通り。トップ画像の7ユーロちょっとを全部入れているが、たったこれだけの厚み。もちろんまだまだ入る。使い始めは生地が硬いが、使っていくうちにコインの出し入れがしやすくなる。

もちろん、一旦全てポーチから出してしまわないといくら入っているのか確認できない。その点は、ボタンやジッパーなどでコインを入れたまま開口できるコインケースに劣るが、これがデザインの取捨選択。どの小銭がいくら入っているのかをひと目で確認したいか、それともなるべく小さなコインケースに小銭を沢山持ち運びたいか、どちらの機能を選ぶか、という問題だ。いくらコインが入っているのかぐらいなんとなく覚えておけばいいだろうしね。




そういえばしばらく前にScrubbaウォッシュバッグの生地でできたミニマル財布「Scrubba weightless wallet」もレビューしているので気になる方はどうぞ。


(abcxyz)