お土産に最適?フィンランドのお手頃時計ブランド「Leijona」の歴史とレビュー


今回はフィンランドの時計ブランド「Leijona」の歴史と、写真のモデル「5012-742」をご紹介しよう。

Leijonaとフィンランド


「Leijona」はカタカナで発音すれば「レイヨナ」、フィンランド語で「ライオン」という意味だ。現在フィンランドの国章にもなっているライオンは、1800年代のフィンランド大公国時代から使われてきたシンボルで、「Suomen leijona」(スオメン・レイヨナ、フィンランドのライオン)とも呼ばれ、ある意味では「フィンランド魂」の象徴として用いられている。最近ではアイスホッケーのフィンランド代表のロゴとしても用いられているほか、お土産屋さんなどでもライオンのロゴの入ったグッズを見かけることができる。



例えばこちらの写真右のVictorinox Signatureはフィンランド限定モデルでSuomen leijonaマークがついているものだ。

時計ブランドLeijona


そんなフィンランド魂を代表する「Leijona」という名とライオンのロゴを冠した時計ブランド。一体どんなブランドだろうか?

LeijonaブランドはフィンランドのPerkko社のブランドではあるが、フィンランドの時計情報サイトKellomiesによれば、フィンランドで製造された事は一度も無い。しかしデザインはフィンランドで行われているという。

もう少しその歴史を探ってみると、J.W. Lindroosという小売店が1910年にフィンランドのタンペレ(Tampere)でLeijonaブランドの時計を販売し始めたものが、1918年にPerkko社を創業したUrhoとOiva Perkko兄弟が1919年にJ.W. Lindrooを買収されて今に至るという内容が散見される(http://feed.ne.cision.com/wpyfs/00/00/00/00/00/10/52/F3/wkr0011.pdf)。2010年にはLeijonaブランド100周年だという記事もOuluの地方紙Kaleva出ている。それによれば当初はLeijonaブランドはスイスで製造され、1970年代には日本での製造に移行、現在は中国で製造されているとのこと。

少なくとも2010年時点まではそういう話だったはずだが、Kellopuoti.fiが2017年2月8日のPerkonのニュースレターをソースとして記しているところによれば、Leijonaブランドは1907年に販売開始された(その他のディテールは先の話と変わらない)とのことだ。

現在Leijonaのブランドサイトを検索すると「Leijona - suomalaisten kello jo vuodesta 1910」と表示されるが実際に公式サイト中のロゴ表記は「LEIJONA VUODESTA 1907」となっているところとか怪しげではあるが、数年の差があるとは言え実際に1900年代のはじめの方、1917年のフィンランド独立前から存在したブランドであるのは事実だろう。

腕時計は大抵のモデルは100ユーロ前後と安価。子供向けモデルなら40ユーロ、壁掛け時計なら20ユーロほど。値段が高い部類のポケットウォッチやフィンランド100周年記念モデルでも300ユーロ程度。なお一番高い腕時計は今のところ14金の1895ユーロのモデル「5026-101」のようだ。なお他にもナースウォッチなどもLeijonaブランドで販売している。

しかし公式サイトではどのモデルも大半のモデルはムーブメント名はおろか機械式かクオーツ式かすらも記しておらず、時計について何も知識の無い消費者向けの安価なブランド。大衆向けブランドと言っても良いだろう(実際には機械式の一部モデルにのみ機械式と記してあり、販売するほとんどのモデルはクオーツ式だ)。Leijonaブランドの時計を販売するForum内のTimanttisetではLeijonaといわゆるチープカシオが同じ回転ケースに入っていたことからも、このブランドの立ち位置が見えてくるだろう。

フィンランドではLeijonaブランドの腕時計を高校卒業時や堅信式を終えた若者に贈ったりするという話も聞くし、フィンランド人のおじいさんがアナデジモデル(5044-157)を付けていたりするのを見たりもする。ぱっと見上品だし、特に質が悪いとは聞かない。

価格が100ユーロ前後と安価だし、チープカシオほどにはチープに見えない。時計はある意味時間さえわかれば良い存在であるから、ある意味ではフィンランドの持つ実用主義的なアイデアの面からすれば、十二分に事足りる存在といえるだろう。

「5012-742」


Leijona 5012-742



今回購入したのは「5012-742」というモデル。Leijona公式サイトでは69ユーロと記されているが実売価格はもう少し安い。

美しく青い文字盤


文字盤38mm。時間針、分針、秒針、そして日付の表示がある。時計盤面は美しい青に、LEIJONAというブランド名と5ATMという表記のみのシンプルな構成。各アワーマークと時針、分針には蓄光塗料が塗ってあり、暗いところで光る。フィンランドの暗い冬でどれだけ光を蓄められるかは疑問だが。

付属品はLeijonaロゴの入った美しい化粧箱に、同じくロゴ入り紙袋、2年の保証付きを示すカード付き。だが説明書の類いは一切無い。

CEマークはシール


一応時計裏にはCEマークがシールで貼り付けられている。型番である「5012-742」と「ALL STAINLESS STEEL 5ATM WATER RESISTANT」という刻印がなされているものの特にそれ以外の情報は無し。

バンド横は綺麗


バンドはステンレススチール製となっており、バンドには二種類のテクスチャの違う部材が使われいる。あまり安い時計だと、メタルバンドを横から見た時に側面がスチールを巻いた状態のまま、まるで「だし巻き卵」みたいな形に見えるものがあるが、これはそんなことはない。

バンドの粗はこうしないと見えない


そのチープさが露見するのはバンドの連結方向からじっくり眺めた時のみで、よっぽどめざとい人でない限りはそのチープさに気づかないだろう。

バンド取り外し


もう一つ安っぽく見えるのは、バンドと時計本体との連結部分にある部品。時計本体に合わせたカーブを描いている部品で、バンドのテクスチャ違いの要素を一つのスチール版に再現しようとしているのだが、めざとい人が間近で見た場合にはどうしてもその質感の違いがわかることだろう。

三枚おろし


バンドはもちろん付け替え可能。

Elliot Havokのバンドと交換してみたり


Elliott HavokのQuarter Century Watchのレザーバンドと替えてみたところ。

これもありかも


これはこれでいけるかも。

Miyota 1M12


こちらは裏蓋を開けてみたところ、中に入っているムーブメントは「NO JEWELS」の文字をそんなに強調しなくてもいいのに、とも思ってしまう「Miyota 1M12」であった。信頼の日本製で、ムーブメントの価格は1000円程度。


お土産には最適か


Leijonaブランドの時計はショッピングモールForumやKamppi内にある宝石店チェーン「Timanttiset」や、Stockmannの1階などでも販売しているのを見ることが出来る。

あまり縁の無い人へのお土産には高すぎるが、時計としてはぱっと見の上品さと(少なくとも今回の5012-742においては)信頼の日本製ムーブメントを備えつつも安価な部類に入る。時計のデザインも様々にあるし、なによりも、100年も続くフィンランドのブランドという点も親しい人へのフィンランドからのお土産として最適かもしれない。




(abcxyz)

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